介護保険法案 が国会に提出され、高齢者ケアの議論が花盛りとなってきています。私自身も平成8年度から実施されている
高齢者ケアサービス体制整備支援事業 の 介護支援専門員指導研修
( ケアマネジメント論研修 )を受講してきましたので、ケアマネジメント論を中心にこの分野についてもホームページ上に意見を載せていくこととしました。
今回私が受講した研修は、平成9年3月3日から5日まで、神奈川県三浦郡葉山町にある
ロフォス湘南 (全国社会福祉協議会 中央福祉学院)にて行われました。研修受講者は全国の都道府県から選抜された高齢者ケアの指導者です。ケアマネジメント論の受講者は、
各県10名づつで全体では約500名 になるのですが、とりあえず3グループとして3月中に2泊3日の研修が3回行われます。私はその3回のうちの最初のグループに参加したという訳です。
介護保険法案は、現在国会での審議に回っていますが、今後、介護保険制度の
導入を円滑に 進めるためには、制度運用に必要な事前準備として、予め、
要介護認定 に係る検討や 介護支援専門員
( ケアマネージャー )の養成を進めることが重要となるのです。そのため、
各都道府県が実施主体 となり 高齢者ケアサービス体制整備検討委員会
を設置し、都道府県は検討委員会の意見を踏まえながら以下のような 事業を行う
こととなっています。
・都道府県下原則一カ所の モデル地域を選定 、 要介護認定等のモデル実施
を行う。
・ 研修への派遣事業(研修は厚生省が実施)
制度論研修
対象:各都道府県の老人福祉・医療・福祉主管部職員 各県4名
ケアマネジメント論研修
対象:保健・医療・福祉に係る専門職 各県10名
ケアマネジメント論研修については特に 制度運用の要 となるケアマネジメント機能をいかんなく発揮するための
高齢者の保健・医療・福祉の広範な理解と指導法 とする必要があるが、平成8年度研修においては当面の
暫定的な研修 となるため、当該受講者は 平成9年度研修においても継続して受講
することとなる。
さて、研修自体については、上記にあるように 暫定的 な要素も強かったのですが、それでも門外漢だった私にとっては導入として極めて有意義なものでした。特に
利用者 、 提供者 、 保険者
の関係や ケアプラン 、 ケアマネジメント
、 要介護認定 、 介護保険 といった基本用語の再確認、
MDS-HC方式 、 日本訪問看護振興財団方式
、 三団体方式 (特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護力強化病院の関連3団体)など、幾つかの
アセスメントとケアプラン作成のための方法 を紹介されたことは、大変参考になりました。研修で学んだこと、さらに自分で工夫したり考えたこと等、介護保険とケアマネジメントに関することをシリーズとしてHPに載せていきたいと考えています。
介護保険の問題を考える時、要介護状態の定義は欠かせません。 ドイツ
の連邦社会扶助法や社会福祉関係法令集によると、 要介護者
とは、 病気や自己や障害のために、長期間、日常生活を営む上でかなり広範囲にわたって他人の援助を必要とする者
とされている。
また、 わが国では入浴、排せつ、食事等の日常生活動作について介護を必要とする状態
を 要介護状態 とし、 虚弱な状態であって要介護状態とならないために適切なサービスを受けることが必要な状態
を 要介護状態となるおそれのある状態 (要支援状態とはいわないようだ)と呼んでいます。
我が国の介護保険の場合、クライアントが要介護状態や要介護状態となるおそれがある状態にあるかどうかを判定するのが
要介護認定 であり、 全国共通 の、様々なケアアセスメントに共通な基準となります。この辺りは後述のケアマネジメントの入口の説明の部分と重なりますが、介護保険では、
介護を必要とする者自らの意志に基づいて、利用するサービスを選択し、決定していく
ことが基本となります。
わが国では 被保険者が65歳以上 の方の場合は要介護状態にある者を
要介護者 、要介護状態となるおそれがある状態にある者を
要支援者 と言います。被保険者が 40歳から64歳まで
の方については、 脳卒中 、 初老期痴呆
など 老化に伴って生じた要介護状態 に対して保険給付が行われます。すなわち若人の場合は要介護状態となるおそれがある状態にある者に対しては保険給付は行われません。